20歳からは国民年金にも加入!
公的年金(国民年金、厚生年金保険)は、社会全体がお互いに助け合う制度。収入のある時は保険料を納めて収入が得られない人たちを支え、収入が得られなくなった時には収入のある人たちの納付する保険料に支えてもらう仕組みになっています。老後をはじめ、障害者になった際、生計を支えていた配偶者などが死亡して遺族になった場合などの所得保障が図られています。
厚生年金保険との関係
現在、公的年金制度は主に国民年金と厚生年金保険の2種類あります(他にも共済年金がありますが、ここでは主な2つの制度についてご説明します)。国民年金の種別は以下の3区分となっており、厚生年金保険加入者(第2号被保険者)については、自動的に国民年金へ加入している状態になるため、改めて国民年金に加入する必要はありません。
国民年金被保険者の種別 | 対象者 | 保険料 |
---|---|---|
第1号被保険者 | 自営業者や学生など | 個人ごとに納付します |
第2号被保険者 | 会社員 | 毎月の給与から控除され会社が納付します。別に国民年金保険料を納付する必要はありません |
第3号被保険者 | 会社員(第2号被保険者)に扶養されている配偶者 | 配偶者が加入している年金制度で保険料を負担しているので、自分で保険料を納付する必要はありません |
国民年金への加入
国民年金の加入手続きは、ケースにより以下のように異なります。
ケース | 種別 | 加入手続き |
---|---|---|
① 学生や家事手伝いで20歳になった場合 | 第1号被保険者 | 20歳になれば国民年金に加入しなければなりませんので、必ず市区町村の役場にて手続きが必要です。 |
②20歳前から会社勤めをしている場合 | 第2号被保険者 | 厚生年金保険に加入している方については、20歳以降は自動的に国民年金へ加入している状態になるため、手続きは不要です。 |
③学生の間に20歳になり、卒業後会社勤めをした場合 | 第1号被保険者 ⇒第2号被保険者 |
学生の間は国民年金に加入し、卒業後は、会社の厚生年金保険への切り替えをします。(厚生年金保険への加入手続きは会社が行います) |
④学生の間に20歳になり、卒業後アルバイトなどをしている場合 | 第1号被保険者 ⇒第2号被保険者 または 第1号被保険者 |
原則は③と同一です。なお、雇用条件により厚生年金保険に加入できない場合は、引き続き国民年金へ加入し続けるため、手続きは不要です。 |
⑤20歳以降に、厚生年金保険に加入していた勤務先(会社)を退職した場合 | 第2号被保険者 ⇒第1号被保険者 |
会社退職後は、国民年金の加入となりますので、市区町村の役場にて手続きが必要です。 |
保険料について
(1)保険料の額
保険料は性別・年齢・所得に関係なく定額で、種類は以下の2つがあります。
保険料の種類 | 保険料(平成29年度) | 納付の義務 |
---|---|---|
定額保険料 | 月額16,490円 | 国民年金の第1号被保険者が納付しなければならない |
付加保険料 | 月額 400円 | 将来の年金額を増やしたい人が任意で納付する |
※会社に入社し、厚生年金保険に加入している方は、国民年金の保険料を別途支払う必要はありません。また、この場合、付加保険料を支払うことはできません。
(2)保険料の納付と割引
①前納割引制度:まとめて納付する(前納する)ことにより保険料が割引されます。
②口座振替早割制度:通常の口座振替では、当月保険料は翌月末に引落しされますが、当月保険料を当月末引落し(同月の引落し)にすると50円割引になります。
※割引制度の詳しい内容等に関しては、下記を参照またはお近くの年金事務所に直接お問合せ下さい。
保険料の免除等
経済的な理由等で国民年金保険料を納付することが困難な場合には、申請により保険料の納付が免除や猶予となる次の制度があります。
免除等の制度 | 制度の内容 | 受給資格期間の算入 | 年金額の反映 |
---|---|---|---|
① 保険料免除制度 (全額又は一部) |
経済的な理由等で保険料を納付することが困難な場合に、申請により保険料の免除を受けられる制度です。 免除には全額免除と一部免除があります。 | ○ 算入されます。 |
○ ただし、免除の額と期間により年金額が減少します。なお、障害と遺族の給付は保険料の免除を受けた場合でも減額されません。 |
② 若年者納付猶予制度 | 30歳未満で、収入が一定額以上あるなど、① の保険料免除制度を利用することができない方のために、保険料の納付が猶予され、保険料の後払いができる制度です。 | ○ 算入されます。 |
× 年金額には反映されません。 |
③ 学生納付特例制度 | 学生を対象に、申請により在学中の保険料の納付が猶予される制度です。(申請は毎年必要です。) | ○ 算入されます。 |
× 年金額には反映されません。 |
④ 失業による特例免除 | 失業(退職)による保険料の免除が認められています。 | ○ 算入されます。 |
○ ただし、免除を受けた期間の年金額は1/2で計算されます。 |
◎保険料の追納
保険料の免除や納付猶予を受けた期間は、保険料を全額納付したときに比べ、将来受け取る年金額が少なくなります。このため、一定期間内に保険料を追納(後払い)することにより、年金額に反映されるようになっています。
※保険料の免除等に関する各制度の詳しい内容は、日本年金機構HPをご覧下さい。
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html
■ご注意ください
保険料の免除や納付猶予制度の適用を受けずに保険料が未納の状態にあり、障害や死亡といった不慮の事態が発生した場合、年金の支給が受けられないことがあります。保険料の納付が困難な場合は市区町村役場などに相談し、免除や納付特例を受けるようにして下さい。
年金給付について
国民年金の給付は以下の3種類となります。
給付の種類 | 内容 | 金額(平成26年) |
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老齢基礎年金 | 保険料納付期間(免除期間等を含む)が25年以上ある方に対し、原則として65歳から支給されます。 | 20歳から60歳までの40年間の保険料を満額納めた場合の年金額は、772,800円です。 なお、60歳までに「付加保険料」(400円)を納めていた場合は、納めた月数×200円で計算した金額が老齢基礎年金に加算されます。 |
障害基礎年金 | 国民年金への加入期間中に、障害の原因となった傷病の初診日がある場合、一定の要件の障害者となったときに支給されます。 | 年金額は障害等級2級で772,800円(障害等級1級はその1.25倍)+子の人数による加算額(例えば子が1人の場合は、222,400円)です。 |
遺族基礎年金 | 「被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者」が死亡したときに、その死亡した方によって養われていた「子」や「子のある妻」に支給されます。 | 年金額は772,800円+子供の人数による加算額(例えば子が1人の場合は、222,400円)です。 |
※年金額及び加算額は、平成24年度のものです。
※年金の金額を決定する際の、「子」とは、18歳となる年度の3/31までの子(障害者の場合は20歳未満)をいいます。
※年金給付に関する詳しい内容は、日本年金機構HPをご覧下さい。
http://www.nenkin.go.jp/