働く人々を守る法律
「労働基準法」について④

労働基準法 - ④ 賃金

(1)賃金支払いの5原則(労働基準法第24条)

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければなりません。また、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。

賃金について決められた上記のルールを「賃金支払いの5原則」といいます。従って、例えば、毎月の給料について「今月は売り上げが悪いから、来月にまとめて支払う」といったことは許されません。

例外

◎通貨以外でもよい場合・・・労働組合と会社の合意(労働協約)があれば、現物支給も認められます。
◎毎月1回以上、一定の期日でなくてもよい場合・・・賞与や臨時の手当など

こんなケース イメージ

こんなケースありませんか?

給与から勝手に『○○費』という項目が引かれている

ここを確認
会社は労使協定(会社と社員代表との合意)を結ぶことなく、税金や社会保険料以外の項目を給与から控除することはできません。会社が労使協定を結んでいるか確認する必要があります。

こんなケースありませんか?

給与支給日が決まっていないので、いつ給与がもらえるのかわからない

ここを確認
一定期日払いに違反しています。給与は、必ず「毎月25日」や「毎月末」など、決められた日に受け取ることができます。

(2)割増賃金(労働基準法第37条)

会社は、時間外労働、休日労働、深夜労働(22:00~翌朝5時の間に働くこと)をさせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。

法定労働時間制や週休制の原則の維持を図るとともに、過重な労働に対する労働者への補償を行うため、会社は1時間当たりの賃金額に、時間外・深夜労働には25%以上、休日労働には35%以上の割増率を上乗せして支払うよう義務づけられています。

時間外(休日)手当の額=1時間当たりの賃金額×1.25(1.35)×1ヵ月の時間外(休日)労働時間数

◎割増率の適用例

例外1 時間外労働の割増率【会社の勤務時間が9:00から17:00までの場合(休憩時間1時間)】

時間外労働の割増率【会社の勤務時間が9:00から17:00までの場合(休憩時間1時間)】

例外2 休日労働の割増率【9:00から24:00まで勤務した場合場合(休憩時間1時間)】

休日労働の割増率【9:00から24:00まで勤務した場合場合(休憩時間1時間)】

【時間外手当、休日手当の計算例】

前提条件

時給1000円の社員が、1ヵ月に20時間の時間外労働、8時間の法定休日労働を行った場合

計算方法

時間外手当の額 = 1000円 × 1.25 × 20時間 = 2万5000円
休日手当の額 = 1000円 × 1.35 × 8時間 = 1万800円

こんなケース イメージ

こんなケースありませんか?

会社に残業代の支払いを求めたら、当社の残業代は毎月の基本給に含まれているといわれた

ここを確認
「基本給○○円・固定残業手当○○円」などと明確に区分されていても、その固定残業手当が何時間分の残業代に相当するのかがわからなければ、基本給に含まれているとはいい切れません。また、実際の残業時間数が、固定的残業手当に含まれる時間数を上回った場合は、その超過分を請求することができます。

こんなケースありませんか?

残業代が30分単位でしか支払われない

ここを確認
残業代を計算する際、30分未満の残業時間を常に切り捨てるというのは違法です。日々の残業時間は原則として、1分単位で集計されなければなりません。ただし、1ヵ月分を合計して1時間未満の端数が生じたときは30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げるという処理方法も認められています。

こんなケースありませんか?

年俸制だから残業代を支払う必要はないといわれた

ここを確認
年俸制であっても、時間外労働を行えばその時間数に応じた残業代の支払いを受けることができます。ただし、労働基準法第41条で定める管理監督者に該当する社員などの場合は、深夜手当を除き残業代の支給対象から除かれます。
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