雇用形態の違い

正社員としての就職先が見つからない場合、当面は契約社員やパート、派遣社員といった非正規社員として働きながら、折をみて正規社員としての就職にチャレンジする、という選択肢もあります。しかし、非正規社員として就職する場合は、正社員に比べて労働条件が悪いなど、不安定な雇用状態に置かれることが少なくありません。そのため、事前にどのような働き方をすることになるのか、十分に確認しておくことが大切です。

正規社員と非正規社員の違い

正規社員と非正規社員とでは、契約期間や就業時間などの労働条件に関して違いがあります。詳しくは「正規社員と非正規社員との違いとは?」を参照して下さい。

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派遣社員になるときの注意点

派遣という働き方は、専門技術を活かして好きな期間働けるという面もあります。その一方で、仕事の内容が事前に聞いていたものと違う、職場の人間関係が難しいといったトラブルも少なくありません。子どもが派遣社員として働くことを希望している場合、保護者はメリットだけでなくデメリット(リスク)についても説明したほうがよいでしょう。

◎派遣社員となるリスク

リスクの内容 具体例
雇用が不安定 正規社員と異なり、派遣社員は契約期間が有期です。契約が更新されない場合、派遣会社が新しい就業先を紹介してくれなければ、新たに就業先を見つけなければなりません。
給与が不安定 固定給ではなく、働いた時間により給与額が決まるため、安定した収入を得ることが難しくなります。
手当てがない 正規社員に対して「家族手当」や「住宅手当」などの各種手当が支給される場合でも、派遣社員には支給されないことが一般的です。
賞与がない 正規社員であれば、ほとんどの会社で賞与が支給されますが、派遣社員は賞与が支給されないことが一般的です。そのため、年収ベースで正社員との収入に大きな格差が生じます。
責任ある仕事は任されにくい 契約期間や業務内容が限定されているため、責任ある仕事は任されにくくなります。
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「派遣切り」に注意しましょう!!

2008年当時、リーマンショックを引き金とした不況下で、製造業を中心に大規模な人員削減が行われました。
特に派遣社員は、生産ラインにおける過剰人員の調整弁として、派遣契約期間中の中途解除や、契約期間満了による雇い止めが行われ「派遣切り」として社会問題となりました。
景気の悪化に歯止めがかかり、派遣社員の待遇改善が行われたこともあり、派遣切り自体が大きな問題として取り上げられることは少なくなりましたが、依然として妊娠をきっかけにした派遣切りなどの事例が少なからず報告されています。
このような「派遣切り」を会社が行うことは、法律上問題はないのでしょうか?
労働者派遣において、派遣社員に関する直接の雇用義務を負っているのは派遣会社であり、派遣先企業・派遣会社間の「労働者派遣契約」はあくまで企業取引上の契約となります。したがって、企業間の取り決め次第では、契約の中途解除もあり得るということです。
ただし、派遣先から契約の中途解除が行われたとしても、派遣社員と派遣会社との雇用関係は継続しており、派遣社員は期間中の賃金(会社都合による休業の場合は、休業手当)を請求することができます。また、派遣先から契約を解除されたからといって、即座に派遣会社が派遣社員を解雇することができるとはいえません。厚生労働省の指針でも、派遣会社に対して次のような措置を取るよう求めています。

◎労働者派遣契約の中途解除にかかわる派遣元企業の責任

①派遣先と連携して、派遣先の関連会社での就業のあっせんを受ける
②派遣会社において、他の派遣先を確保する
③新たな就業の機会を確保できなかったとしても、まずは休業扱いとして、休業手当の支払いなどを行う
④やむを得ず、③ができずに派遣労働者を解雇する場合は、解雇予告や解雇予告手当の支給などの法令を遵守し実施すること

ただし、現実的には、労働者派遣契約を中途解除された派遣社員が、派遣会社の経営状況の悪化を理由に解雇されるがケースが多くなっています。そのため、厚生労働省は前述の指針において、次のような派遣先企業の責任も定めています。

◎労働者派遣契約の中途解除にかかわる派遣先企業の責任

①派遣会社の合意を得るとともに、あらかじめ相当の猶予をもって派遣会社に申し入れること
②派遣先の関連会社での就業をあっせんするなど、派遣労働者の新たな就業機会を確保すること
③②ができないときは、派遣契約解除の30日前に派遣会社に予告を行うこと。もし予告しない場合は、派遣会社に30日以上の給与相当分の損害賠償を行うこと
④派遣元会社から請求があったときは、派遣契約の解除を行う理由を派遣会社に対して明らかにすること

「派遣切り」にあってしまった場合、まずは派遣会社と派遣先会社の担当者に対し、賃金や新たな就業先などに関する対応を求めることが必要ですが、解決が困難な場合は、最寄の都道府県労働局や労働基準監督署に相談してみましょう。

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