本当は氷河期なんかじゃない? 中小企業は新卒採用に積極的!
最近の就職戦線は、大いに異常あり
厚労・文科両省が発表した2011年3月の大学等卒業予定者就職内定率(2010年12月1日現在)は68.8%。つまり、10人のうち3人は未就職であることを示しています。前年同期を4.3ポイント下回り、1996年度の調査開始以来、過去最低の水準となりました。もっとも、調査対象は全国112校(短大・高等専門・専修学校を含む)で、実際は50%台でもおかしくないと指摘する声もあります。まさに、就職氷河期といえるでしょう。
ところが、リクルートワークス研究所の調査によれば、2011年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の大卒求人倍率は1.28倍。ちなみに求人倍率とは、求人総数を求職者数で割ったもので、1倍は双方とも同数の状態で、1.28倍は求人総数のほうが多いことを示しています。前年の1.62倍から低下したものの、十分に就職先がある状態です。
さらに大企業は0.47倍ですが、300人未満の企業は4.41倍となっています。
偏った大手志向が、自らを苦境に追い込む
こうした奇妙な状況を招いている理由として考えられるのは、学生の皆さんの大手・有名企業志向です。低迷の続く経済への不安から、勤め先に安定性を求める気持ちもわからなくはありませんし、企業のネームバリューもその判断基準となり得るでしょう。しかし、画一的なものの見方でしかありません。
約150万社を数える日本の法人企業のうち、99%強が中小企業です。ご家族など、皆さんの周囲で中小企業にお勤めの方は決して珍しくないはず。つまり、大半の人々が中小企業に勤めているということです。
また、中小企業を敬遠する理由として、経営基盤の脆弱さや、給与・待遇面への不安を挙げる方も多いようですが、仮に10%、いや5%の中小企業が安定経営を続ける優良企業だとしても、その数が全体の1%に満たない大手・有名企業を上回っていることは明らかです。むしろ、地に足をつけた就職を考えるなら、中小企業を選択肢とするほうが確かだといえるのではないでしょうか。
正規採用で人材育成を考えている中小企業も多数
全国47都道府県の中小企業家が参加している中小企業家同友会全国協議会では、経営基盤を確立して、新卒人材の採用・育成ができる企業づくりを進めてきました。さらに、合同企業説明会など採用イベントを行い、中小企業の持つ魅力を学生の皆さんにPRする「共同求人活動」をこれまでも行ってきました。そして、2002年からは「Jobway」という新卒採用サイトの運営も開始。このサイト内に登場している企業は、次代を担う人材育成を念頭におき、積極的に正規雇用での採用を行っています。地域に密着した展開をしている企業が多いことも特徴で、各地域での合同企業説明会を随時実施。卒業後は、出身地で仕事に就きたいと考える方にとっては見逃せません。しかも、企業ごとの説明会では経営者と直接会うことも可能です。より身近にその会社をとらえることができ、ビジョンや経営方針、人事方針などの理解を深め、自分に合った1社を見つけるために絶好の機会が持てます。
中小企業に対する認識を今こそ変えるべき
前述したように、日本企業のほとんどが中小企業です。それらが日本の産業や経済を支えていることはいうまでもありません。大手企業が優れた製品やサービスを提供できるのも、協力する中小企業があればこそ。
そして、特化した技術やノウハウ、独自の経営スタイル、1人ひとりの社員へのきめ細かな配慮など、その会社ならではの特徴・メリット・魅力が、そこに働く人々のモチベーションや誇りにつながっているのです。それがこの国の原動力となっているといっても過言ではないでしょう。現在、就職をお考えの皆さん、日本の、そしてあなたご自身の将来のためにも、中小企業に対する認識をちょっと改めてみませんか。ぜひ一度、中小企業家同友会の「Jobway」をご覧になってみてください。
■中小企業家同友会全国協議会
http://www.doyu.jp/
加盟企業数/会員41,500企業経営者(47都道府県)
平均企業規模/従業員数30名・資本金1,500万円
※2010年10月現在