現場コラム【多様な介護の仕事】 -3-
介護関係職員の原点「バイステックの7原則」
精神介護の重要性
通所介護事業所にとって必要な人材とは一体どのようなものだと皆さんはお考えでしょうか。実は、通所介護事業所にとっては「介護技術」そのものはあまり重要ではありません。もちろん技術が卓越していることは喜ばしいですが、「身体介護」よりも「精神介護」、しかも利用者の身に限らずその家族や他職員に対しても精神的な充足を与えることのできる職員が現在必要とされる職員なのです。
人間関係と「バイステックの7原則」
この仕事は「排泄介助と入浴介助」が重要だと思われがちではありますが、実際は「良好な人間関係を築き自分の善意を押しつけない事」が仕事をするうえで重要なことになります。これは家に閉じこもりがちであったり家族同士の不満を持っていたりする利用者やその家族と「良好な人間関係」を築き、家族の関係や考え方などに「自分の善意を押しつけない」ということです。これは簡単そうな事と思われがちでなおかつ現場の職員にも「私は問題ない」と思っている者が少なからずいます。しかし、相談員・管理者として利用者や家族、介護支援専門員と接するに当たり「あの職員さんはちょっと…」と思われている事がほとんどです。問題となる職員は多くの場合「自分は常に利用者の事を考えており、利用者の考えを最優先する自分は間違っていない」と考えています。これは確かに一見とても正しく素晴らしい考えです。しかし、「私は正しいのだから常に私の考えを最優先すべきだ」という考えには「傾聴」「共感」「(利用者の)自己決定」などと言った要素は全く含まれていません。
実は現在介護の職場で問題になっている職員同士の人間関係問題も、多くの場合この「独善的な考え」に起因していることが多いのです。介護の資格を持つものなら必ず学んだであろう「バイステックの7原則」、これをきちんと身につけているなら人間関係の問題はまず発生しえない事と思われます。
利用者やその家族、さらには職場の他職員とも円滑な人間関係を築くためにも常に自分の態度を省みていきたいものだと思います。特に今この文章を読んで「自分は大丈夫」と思った人ほどもう一度「7原則」を読み直して実践する事をお勧めします。