現場コラム【訪問介護の仕事から】 -1-
介護はマンツーマンの信頼から
訪問介護には大きく分けて、「生活支援」と「身体介護」の2つのサービスがあります。「生活支援」は、利用者(サービスを受ける人)自身で行うことが困難な生活上の諸々(調理、掃除や買物等)を代行したり、それらを付き添いながら遂行することです。「身体介護」は、利用者本人だけでは困難な動作(食事、入浴や排泄、身だしなみ等)の介助を行うサービスです。それらのサービス全般を、利用者の「自宅」でおこないます。
ということで、訪問介護はまず、利用者の家に上がることから始まります。
考えてみれば、これは凄いことではないでしょうか?
親戚の家でもない、知り合いの家でもない家にお邪魔して、そのお宅の調理器具や生活道具を使わせていただくことになるのですから。さらには、利用者の体自体に触れるサービスも行うのです。利用者から見れば、見ず知らずの他人が家にやってきて、家の中の道具を使う、または自分の体を委ねる不安があります。
サービスを提供する訪問介護者は、勝手がわからない空間と、自分が利用者にどう見られているかのドキドキ感や緊張で常に一杯なのです。
訪問介護者は、今までに習った技術や日々の業務からの経験で仕事に励むのですが、そこで利用者から「美味しかったよ」「体がさっぱりしたな」などの言葉をかけてもらったり、認められたりすると、利用者との信頼関係が結びやすくなります。 ところが、そう簡単にメデタシメデタシ…とは中々行かせてくれないことも多いのです(これらについては次回以降で)。介護者が一生懸命やっている「つもり」でも、利用者にとっては満足できないこと等、うまくいかないことは沢山あります。相手が人間である以上、「マニュアル通り」にいかないことが多いこと。そこで、利用者のその日の体調や気分、やってほしいことをキャッチすることが必要になるのです。そう、訪問介護の特徴は、利用者と介護者の“マン・ツー・マン”なのです!
訪問介護者が利用者の真のニーズを聴くために、体の全アンテナを張り巡らす。それは、まず自分を信頼しなければ始まりません。だって、そこには先輩も同僚もいないのですから。介護者を信用して、身を預けている利用者もいます。時間の制約だってあるのです。 だからこそ、1回1回業務をやり遂げ、利用者から感謝やお誉めの言葉を聞くと、ヤミツキになれる仕事といえます。自分を信じ相手を思いやることで、人間は信頼し合える。これを確認できるのが訪問介護です。 最近、人間不信になっている方にはぜひおススメの仕事です。