現場コラム【訪問介護の仕事から】 -4-
時間を管理する

訪問介護の仕事で最も大切なことの一つに、“時間を守る”ということがあります。それは、介護サービスの利用者とそのサービスを行う人(事業所)との信頼関係を結ぶ一歩です。

例えば、あらかじめ決まっている介護サービスの提供時刻に利用者のお宅に伺うこと、また決められた時間内で、決められた家事や身体介護のサービスを終わらせることがその一つです。「なんだ、時間を守ってやればいいじゃないか、簡単、簡単」と軽く考えそうですが、実はこれが結構、難しいのです。
利用者のお宅に定刻通りに着いて、時間通りのサービスを行って、次のお宅にまた定刻通りに到着しサービスをする・・・といった繰り返しになります。
まず、利用者のお宅に伺うのに、あなたなら何を利用しますか?公共のバス、自家用車、バイク、自転車・・・。公共のバスはご存じのように便数や定刻通りの発着が難しいので、利用者宅に間に合わないリスクがあります。そこで自家用車なら早いし、雨の日も濡れずに済むので便利と思われますが、渋滞や、利用者宅近くに駐車するスペースが無い場合もあります。では自転車はどうでしょう?自転車なら一方通行も走れ、小回りが利きます。また、細い道もスイスイ走れます。ただし、体力に自信がないと、着いたときにはヘトヘトでサービスの提供どころではなくなります。
雨の日は、交通事故の危険も多くなります。さらに、それぞれの利用者のお宅が近ければいいですが、次の宅まで遠ければ、一日にこなせるサービス数は少なくなります。ということで、免許のある人の場合は、渋滞や駐車のリスクが無く、かといって体力の心配も少ない、また自家用車よりも小回りのきく原付バイクがオススメかもしれません。
利用者のお宅で行うサービスについても、何時~何時までと、きっちり決められています。そして、そのお宅ごとに決められたサービス(食事の準備や、掃除や洗濯、入浴やトイレの介助など)を自分で段取りしながら、完了しなければいけません。
例えば、1時間のサービスで、食事の準備、洗濯物干し、服薬準備を行うとしたら、まず、利用者に体調確認の声かけをし、30~40分程度で食事の何品かを作り、10分程度で洗濯物を干し、服用する薬を確認し、最後に提供したサービス内容を記録します。以上をサービス時間内に終了させます。行ったサービスを記録するのも、「どんな業務を自分がしたか」という証ですので、欠かせない仕事です。

このように、自分自身で効率的な業務の割り振りや時間を管理していく必要があります。
その方法の一つとしては、よく作る料理、例えば、肉じゃがなら、ジャガイモが柔らかく煮るまで何分位かかるかを把握しておくことや電子レンジを使ったショートカット方法を工夫する(電子レンジなどのツールがない場合もよくありますが)、洗濯物を干す時に必要な時間を事前に想定しておくとか、仕事の仕方やそれにかかる時間を頭に置いておくことをお勧めします。私はれんこんのきんぴらを作ったときに時間を読んでおかなかったために、利用者から「堅くて食べられなかったよ!」と叱られたことがあります。その時、もっと早い時間かられんこんの下拵えに入ればよかったし、れんこんをもっと薄く切る等の工夫をすればよかったと反省しています。

業務を時間内で終わらせる工夫とともに、サービスする相手とのコミュニケーションは大事です。利用者が一人暮らしだったりすればなおさら、自分の体調のことや日々の不安、楽しかった思い出など、ヘルパーと交わしたい話も盛りだくさんあります。業務を時間内に終わらせることを頭に置きながらも、利用者との信頼関係を築くためには、できるだけ会話は大事をしたいと思っています。そうしたコミュニケーションを通じて、そのお宅の料理の味付けや洗濯物の干し方を確認し、利用者の満足するサービスの仕方を考えたいと思っています。

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