現場コラム【新人、介護の仕事奮闘中】 -5-
身体介助の仕事

ホームヘルパー2級の修了証書を会社に提出後は、業務内容に若干の変化がありました。
仮採用の研修期間中は、レクリエーションや共有部分の清掃作業が主な日常業務でしたが、資格者証(ホームヘルパー2級を「ヘルニ」と業界では呼ぶらしい)が届いてからは高齢者の方の身体を直接触れて介助する業務が加わりました。私が勤務する施設の介護職の仕事は大きく分けて「身体介助」と「生活援助」に分別されます。身体介助は排泄・食事介助・入浴・移動・服薬管理といった身体に直接触れて行うサービスです。生活援助は洗濯・リネン・日常品の買い物といった日々生活する上で必要なサービスの提供となります。食事の調理は専門の給食センターに業務委託をしているので館内に厨房施設を備えていますが、介護職が食事を作る事はありません。
身体介助の大半は入浴介助となります。館内に大浴場(15人くらいが一度に入れる)施設があります。大人数で一斉入浴ではなく、利用者一人を介護職一人が付っきりで介助します。一度に入浴する利用者は3人を基準に、多くても4人くらいまでとなっています。入浴時間は概ね1時間以内です。健常者の感覚では「ひっと風呂浴びる」ことなど訳もないことですが、認知症の高齢者となるとそう簡単ではありません。 そもそも風呂に持って行く物の準備が出来ません。パンツばかり5枚も持ってきたり、季節感のない服を選び、股引を何枚も履いて待っている方も居ます。
職員は入浴の準備から行います、下着・服・タオル・石鹸・整髪料・軟膏と言った個人の嗜好を確認しながら一緒に用意します。脱衣室や浴室内は手を引いて誘導し、体洗いや洗髪は出来るだけご自身で行って頂きます。紙パンツや尿取りパッドを使用している方も居ますので、おしりの便付着や陰部の汚れもきれいに洗います。浴槽は膝くらいまでの湯量ですが、溺れる事も有りますので身体を支えながら入浴を見守ります。
入浴後は身体の様子を観察し湿疹や床ずれなどの軟膏を塗布し、服を着てもらいます。手足に麻痺がある方の場合は抱きかかえる様にして更衣を介助します。髪の毛を乾かして終了となります。この様に書くと大変そうですが、実際には職員は防水の防護エプロンを着用しています。感染予防の為、皮膚病の方を介助する場合は手袋を何枚も付けて対応をします。ほとんどの場合見守りと声かけによる行為の促しです。介護職員が直接、陰部や傷ぐちの洗身を行う事は少ないのがこの施設の現状です。 資格者証が届いた事で給料に手当が加算されました。

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