現場コラム【新人、介護の仕事奮闘中】 -13-
歯医者さん、メガネ屋さん、理美容店さん・・・

高齢者の必需品と言えば義歯(入れ歯)・シニアグラス(老眼鏡)とそれに補聴器です。いわば、おじちゃん・おばあちゃんの三種の神器と言っても過言ではないでしょう。これが無いと日常の生活が非常に不便になります。
先ず、それぞれの品物の作製費用をみてみると、義歯(入れ歯)は健康保険の対象となるので特別注文の物にしなければ数千円程度で作ることが出来ます。シニアグラス(老眼鏡)も、海外の安価なレンズを使用して作ることが出来るようになりましたので、特別なフレームにしなければこれも数千円程度で作ることが出来ます。補聴器は、前の二つとは少し様子が異なります。補聴器も、義歯や老眼鏡と同じようにそれぞれ使用者に合わせてオーダーメイドで作製しますが、驚くのはその金額です。安い物でも8万円くらい、高額な製品となると50万円以上する物も有ります。もちろん片耳分です。両耳で作れば100万円以上します。多少の補助金が出るそうですが僅かな金額です。
補聴器は、管理医療機器と呼ばれる特殊な補助具に分類されます。高額な製品は、聴覚障害者でも使用出来る様に、補聴器そのものの機能がかなり高度に設計されているようです。補聴器の場合は電池を使用するため、電池代も必要です。使用する電池は空気電池(米粒二つくらいの大きさ)という特殊な電池を使用します。100円ショップなどでも格安で販売している物も有りますが、正規品(400円/1個)と比較すると電池寿命がぜんぜん違うとのことです。
入浴介助を行う時など、補聴器をはずすのを忘れると50万円がパーってことも有りますので入浴前に耳の穴も良く調べます。
施設には業務委託を受けた歯医者さん、メガネ屋さん、理美容店さんなどが定期的に来訪します。歯医者さんは毎週金曜日に歯科器材を全て準備して「歯科往診」を行います。毎回20名くらいの方が治療を受けます。治療といっても殆どの方が総入れ歯なので義歯の調整が主な治療内容となります。歯茎のクリーニングと歯ブラシ指導を毎回行います。入居者は基本的に後期高齢者や末期高齢者の方なので歯科治療を受けても自己負担は殆ど有りません。
メガネ屋さんは不定期ですが、毎月一回くらいの頻度で来訪します。メガネや補聴器の調整と新規作成、補聴器の電池販売(これがけっこう高い)などが主な作業です。
理美容店さんは毎月第3土曜日に来訪し開店します。ほぼ全員が利用します。カットのみではなくパーマや白髪染めも行います。散髪は衛生的に過ごす意味で必要ですし、希望のヘアースタイルにすることで個人のモチベーションアップにもつながりますので積極的に利用して頂けると良いと思っています。利用料金は自己負担になります、通常の理美容店の倍くらいの金額になっています。
施設に出入りする協力会社さんは、利用料金や治療料金をその場で徴収せず施設の本社に請求を出します。施設側では、毎月の請求にこの費用を加算して入居者の家族に請求します。業者側からすれば、料金回収のリスクヘッジができるので多少のマージンを支払っても安定的な顧客獲得が可能となります。施設側としては、予め入居保証金を預かっているので清算料金の担保は充分です。
施設では入居者に、来訪する各種の生活サービの利用を強制はしていませんが、結果的に利用せざる得ない状況となってしまっています。理由としては、認知症が有る方が多い、杖や車いす又は歩行器を利用している場合身体の自がきかない、家族に頼んでも対応してくれない、施設の送迎サービスや介護タクシーを利用すると介護保険の点数が減ってしまって結果的に毎月の負担額が増えてしまう、などが考えられます。
同じ様なサービスで、リネン業者、エアロビクス体操、訪問演劇を専門に行う劇団などが有ります。リネン(敷きシーツ・掛け布団カバー・枕カバー)は毎週交換します。基本的に持ち込みを禁止しているため、協力会社を使うことになります。エアロビクス体操や演劇は自由参加ですが、毎月の施設利用料金に包含されているため、結果的に負担をしている事になってしまっています。全ての入居者が対象では有りませんが、車いす・歩行器・酸素吸入器・血中酸素計測機・血圧計・紙オムツやパンツ・尿とりパッドなどについても施設側が紹介する業者との取引となっているのが現状です。会社側としては、ワンストップで入居利用者のニーズにご対応することがその趣旨らしいのですが、過ぎたサービスは如何なものか?と少し感じます。

PageTop

ひらく・ナビ20関連ページ

PageTop