現場コラム【新人、介護の仕事奮闘中】 -12-
施設内での研修で知識、技能をアップしていく。

私の勤務する施設では、毎月介護研修が行われます。基本的に社内研修がほとんどです。
内容は、基本編としてコミュニケーション(接遇)・トランス(ベッド・車いす)・排泄介助(紙オムツ・紙パンツ・パッドなど各種)・食事介助(キザミ食・トロミのつけ方)などです。医療・看護編は、痰吸引・経管栄養・胃ろう・酸素吸入器操作・救急医療対応などとなっています。講師は先輩ヘルパーや、本社の教育担当者(看護師資格者の場合が多い)が講義と実習を行います。概ね60分くらいです。研修は職員同士が交互にモデルとなって実習する場合や、OJT方式で利用者の方の協力を得て行う場合も有ります。
基本編はホームヘルパーの講義でも実習しますし、日々の身体介助でも慣れているので特に難しい事は有りませんが、医療・看護編は医療行為となる介助も有るため、各種医療器具の扱いも含め操作手順にも神経を使います。現在勤務している施設には医療介助を必要としている方はいませんが、会社としては職員の異動も勘案して定期的に研修を行っているとの事です。
研修終了後はA4用紙一枚程度の研修レポートを提出します。行政の実地指導の際、研修実施の記録を開示しなければならないため、研修レポートは専用のバインダーに綴じられファイルします。
社外研修も有ります。施設長やサービス提供責任者といった役職の人達は、コンサルタントや自治体が行う「介護業界の管理職研修」などに参加しています。業界全体の歴史が浅いのと私が勤務する会社が新しいため、研修スキームそのものを構築しながら走っている様に感じます。高度な内容の研修項目になると企業ナレッジがまだそれ程無く、自治体が主導する研修や企業コンサルが運営する研修を利用する場合が多いようです。
新米のヘルパーとしては、この様な研修を定期的に開催して頂けるのは非常にありがたく思います。入職してからまだ数カ月ですが、入浴中に利用者が意識喪失して倒れる場面や、今年のお正月には行事食の栗キントンを誤嚥して呼吸困難になる場面などを目の当りにしているので、このような研修は必要だと思います。施設内で急変した訳では有りませんが、既に亡くなった方がお二人います。二人とも肺に持病がある方で、酸素吸入器を日常的に装着していました。血中酸素濃度(SPO2)を頻繁にチェックしていた事が思い出されます。SPO2値は%で計測します。平地で健常者は98%以上、高齢者になると97%くらい、肺疾患の既往歴のある方は90%以下の数値が出たりします。80%台の計測値が続くと生命の危険が有ります。この様な細かい症状はホームヘルパーの講義でも習わないため、施設で行う定期的な研修は非常に勉強になります。

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