現場コラム【新人、介護の仕事奮闘中】 -8-
入居者の死に直面して。

当然のことですが、利用者の中にはさまざま既往歴(病歴)を持った方が沢山います。もちろん現在治療中の方も沢山います。毎食ごとの与薬(薬の準備)者も毎回20名~23名になります。70%~75%くらいの方が何がしかの薬を服用しています。食前薬や食後薬だけでこれだけの数です。これとは別に吸引薬や心臓疾患の貼付薬、軟膏などの皮膚疾患の薬もあります。すべてを含めるとほぼ全員の方が必ず何かの薬の世話になっていることになります。
介護職員の業務に服薬介助が有ります。常駐の看護師さんと一緒に薬の確認を行い利用者が薬を飲み込むまで確認します。胃薬や便秘薬は多少間違えても命に直接影響を与えることはありませんが、心臓疾患や降圧剤・睡眠導入薬と言った種類の薬は間違えてしまうと大変なことになってしまうため神経を使います。
現在の施設はターミナルケア(終末期医療)を専門にした設備はありませんが、企業グループ内の医療分野の医師とホットラインがつながっているので、本人や家族が希望すれば(細かい手続きが必要)受け入れている様です。
私が入職してから4ヶ月(研修期間を含む)が経過しましたが、その間にお二人の方が亡くなりました。病気はさまざまですが、お二人とも90歳代で持病はあるものの認知症は発症していない方でした。日常的に普通の会話も成り立っていました。容態が急変して救急で専門病院に搬送されて、一人は1週間で、もう一人は2週間で亡くなってしまいました。数日前まで普通に話しをしていた方が死んでしまったので、「少し感傷的になるかな?」と思っていましたが、自分でもびっくりするくらいあっさりと亡くなった方のお部屋の整理することができました。事前に個人のアセスメント(入所事前情報)やケアプラン(介護サービス計画)は熟読しますので、無意識の内にその方の死について納得していたのかも知れません。当たり前ですが、他の利用者には亡くなったことは伏せる様にしています。「ご自宅に戻りました」とか「入院が長引きそうです」と言った説明をしています。認知症の利用者は、直ぐにそんな方が施設内に居たことも忘れてしまいますし、認知症のない方も「その話」には何となく触れなくなってくるみたいです、残された方々の心中を察すると少しせつなくなります。この様な施設に入所している方は、死なないと家には帰れないのが現状なのだ。ということを実感しました。

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