現場コラム【新人、介護の仕事奮闘中】 -17-
東日本大震災被災地視察2「避難所をまわって・・・」

 女川町で約500人が避難生活をしている町立総合体育館を視察しました。避難所の管理は基本的に避難住民たちの自治となっています。町役場の方もいますが、役場も被災しているので人員不足になっている状況です。近隣の町からボランティアの人達も助勢に来ています。ここの体育館内は町のはずれで高台に建設されていたため、津波の被害を受けずに済みましたが地震の影響はありました。窓ガラスが割れていたり壁の一部が崩れています。館内は、テレビなどの映像でも分かるように、板の間にビニールのレジャーシートを敷き詰めてその上に毛布を敷き、段ボール箱で家族単位に間仕切りをしたスペースが、足の踏み場もないほどに配置されています。一人につき一畳分を割り当てる事になっているそうですが、荷物の分量も含んでいるので、実際の居住スペースは本当に狭いものになります。この避難所では健常者を中心に避難生活をされています。介護が必要な高齢者や病人・障害者といった方々は既に近隣の専門の避難所に移送されています。食事は朝・昼・晩それぞれ無償で支給されます。山崎パンは早い段階で提供されるようになったとの事、その他には大手ファミリーレストランチェーン(ガスト)が無償で“カレーとハンバーグ”を毎食提供しています、またコンビニエンスストアーチェーン本部からも、毎日“唐揚げ弁当”が無料で配布されるので、とりあえず空腹は満たされますが、同じ物ばかりなので飽きてしまう様です。この避難所には、毎週の様に民間企業の炊き出しボランティアが訪れるとの事です。視察に行った時も、東京の某有名ラーメン店が10人程の態勢で来ていました。自衛隊も常駐していて、毎回炊きたてのご飯と出来たてのみそ汁を提供しています。非常に人気です。入浴施設も、自衛隊が屋外浴場をテントで設営しています(「弘法の湯」というらしい)。避難所住民は一回あたり利用時間20分程度で順番に入浴が可能との事です。有名タレントやスポーツ選手なども頻繁に食料持参で慰問に訪れている様で、館内のいたるところに写真や復興メッセージのバナー等が掲示されています。

 総合体育館内に入ることが出来ない避難民の方々(乳幼児・子どもが小さい家族が対象の様です)は、敷地内のグランドにテントを設営してそこに入所しています。テントは自衛隊が野営で使用する大型テントで六畳~八畳くらいの大きさがあります。このテントの利用は基本的に家族単位です。体育館内は大勢の避難民が集合生活をしているためプライベートな空間はまったくありません、授乳やおむつ替え、感染症予防などへの配慮からテントの利用を希望するご家族が多数います。また視察で訪問した時は、館内で“溶連菌感染症“が発生していました。館内で年齢に関係なく大勢の方々が感染しているとの事でした。特に小さな子供がいる家族は隔離生活を希望している様です。テントに移っても、大雨や風が強い時などはテントが飛ばされたり水が染み込んできたりと、必ずしも安心して過ごせない環境です。天気が良い日はテント内が高温になるので、日中は敷地内の木陰で過ごす時間が多いと話しています。訪れた時は梅雨前でしたが、蚊やハエが大量発生している状況で、体育館は網戸がなかったり、破損して使い物にならない窓も沢山あるので大変です。緊急の害虫対策を要望しているとのことでした。ボランティアセンターでも”ダニ・害虫バスターズ“なるものを組織、衛生管理の行動を始めるところでした。

 避難所も停電状態が続いているので、体育館はもちろんテントなどにも個別に電気は供給出来ていません。敷地内の公共部分については自衛隊の特殊発電車が提供する電気を制限しながら使用しています。

 体育館内の敷地には仮設住宅の建設も進んでいて、既に数家族は仮設住宅に移っています。仮設住宅への入居は抽選で、高齢者を抱える家族や小さい子供がいる家族が優先される様です。仮設住宅に当選しても入居を拒否する事もある様です。理由は仮設住宅に入居すると食料配給が受けられない・生活物資の支給をしてもらえない・経過日数に応じて光熱費の請求が発生するなどです。収入の目途がついていない状況で仮設住宅への入居に踏み切れないのも理解出来ます。

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